『粗にして野だが卑ではない〜石田禮助の生涯』 城山三郎著 文春文

石田禮助三井物産に35年在職。華々しい業績をあげた。そしてその後、国鉄総裁を6年在任。総裁を辞したときは84歳であった。在任中、勲一等の話があったが、固辞。
表題の『粗にして野だが卑ではない』ということばは、総裁になってはじめて国会に呼ばれたとき、代議士たちへの自己紹介のときに言い放ったことばである。著作によれば、石田さんは長い生涯を、ほぼそのことば通りに生きたとのことである。
城山さんは「骨太」の人物をたくさん描いているが、私自身は「極細」であるとつくづく思っている。しかし、城山さんの描く人物の多くに私はたいへん関心を寄せているわけである。
この本は、ベストセラーとなり、表題は流行語にもなったとのこと。
現在城山さんの作品で静かに話題になっているのは『そうか、もう君はいないのか』ではないでしょうか(電車の吊革広告をみていてそう思います)。これもいつかは読んでみるつもり。