『時雨みち』 藤沢周平著

私は友人で藤沢さんの熱烈?な読者がふたりいますが、どちらの方もすきな作品no.1を『三屋清左衛門残日録』をあげていました。それはさておき、藤沢氏が私の学生時代の愛読書山本周五郎のあと継ぎであること、近年山田洋次監督が氏の作品を映画化していることから時々藤沢さんの小説を読むのですが、なかなか私の心に響く作品に出会えませんでしたが、やっと「おっこれは!」と思えたのがこれです。この作品は短編集ですがどれも女性が主人公のようです。どこか周五郎っぽいものを感じましたが、最近山田監督より映画化された『武士の一分』よりかなりいいと思われる作品ばかりでした。単なる「娯楽小説」ではない、ということです。収録作品『夜の道』では、小名木川、両国橋、森下・・懐かしい地名がたくさん出てきてうれしかったです。