『大阪・道頓堀川「ホームレス」襲撃事件―弱者いじめの連鎖を断つ』

北村年子さん著 太郎次郎社

図書館で借りて読みました。忙しかったので、一気に読むことができずとびとびになってしまいました。現代日本の「いじめ」について考えるいい書物ではないかと思います。著者北村さんは魅力的な方に感じられて、その実行力に対し心から敬意を表します。機会があればぜひ講演会にでも足をはこんでみたいです。
私の尊敬する先生に「夜回り先生」という先生がおられますが、この本の中で「子ども夜まわり」という活動が紹介されており、関心を持ちました。
以下、少しばかり抜粋します。

〜彼らが襲った「弱者」が、なぜ人間扱いされず、襲撃の対象、いじめの標的にされるにいたったのか。襲った側と、襲われた側の双方が、この社会でどういう位置にいて、どんな悩みや生き苦しさを感じているのか。そして彼らが襲い襲われる関係ではなく、「人間」として出会い、つながりあっていけるためのどんな環境や教育が、いま必要なのか。彼らの行為・犯罪・事件を、あくまで、この社会システムを支えている意識全体の「共犯性」から問いなおしていくことが必要であり、その作業なしにこの「いじめ社会」を越えるための道すじも手がかりも見いだせない、と私は思っている。

〜ただ存在しているだけで価値がある。生きているだけで素晴らしいーーそんな「あるがままの自分」の価値を、いま、どれだけの子どもたちが、他者から認められ、自分に認めることができているだろう。そして彼らの中で見えなくなっている自己の存在への「価値」と「権利」の意識、その根源となる「自尊感情」をこんなにも子どもたちから奪ってきたものは何なのか?